喫茶クラムボン
海里

喫茶クラムボンは
小さな谷川の水底にあります

室内の照明はもちろん幻燈
ではなくって
窓からの水明かりだけですが同じ青です

マスターご自慢の
かぷかぷカプチーノは350円
代々のマスターが
かぷかぷ笑いながら淹れてくれています

夕焼け雲の色をした
クラウドベリーのパイも350円
北極圏の草イチゴはさすがに輸入ですが
渡り鳥から習ったレシピで手作りです

水の外では
ニンゲンたちがマスターの正体を研究中
作品「やまなし」におけるクラムボンとは何者か
どっかいといいます
どっかいっちゃいそうです

やまなしのリキュールは
マスターだけの秘密の愉しみで
さわがにのお父さんだけがその存在を知っています


自由詩 喫茶クラムボン Copyright 海里 2010-06-20 21:33:57
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