月とタマネギ
砂木

雨の日にタマネギを食べる
茶色のかさかさした所をむくと
白い皮が つるり つやつや

曇る空模様に薄暗くなった台所で
食べられる月のように まな板にうかぶ
半分に切って ざくざくと刻むと
眼に強い刺激がさして

夜半の月は もう かえらない
灯りをかき消す 正しい耀きで
雨粒の隙間にのまれた 刻んだ匂い

沸騰した鍋の中に ぼたぼたと落ちていく
雨音に落ちていく 白い切りくず
かきまわすと 柔らかく沈む











自由詩 月とタマネギ Copyright 砂木 2010-06-20 14:10:22
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