はじいたような
邦秋

暑いだけの部屋を
抜け出すから
動かないで待っていて

雨は降っていない、
ここから 辿り着くまで
傘は持たないまじない


最後に受け取ったのは
声ではなく文字
表情もなく過ぎて

揺り篭の片方を
押さえ、放した
そのまま転がり始めた
せめて最期に
傍に、傍に

もう二度と会えないと
解った時
暗い空に救われた

いつまでも筆の先の
白いインクを
はじいたような模様に
包まれてたい
永久に、永久に、

脆過ぎた僕たちの
脆過ぎた約束の
代わりに僕を繋いだ
ありがとうを言うよ
はじいたような

空に、空に


自由詩 はじいたような Copyright 邦秋 2010-06-20 09:18:06
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