20cmのはみ出し
ベルヤ




傲慢を隠し持って

80センチメートルの高さから引力に引き寄せられ転落して

右の額と頬骨は優しさを誇示し脳をまもって

真っ暗な無痛の感覚から小さな円が拡大して

モノトーンの視界に色をつけ出して

首が妙な物でおおわれ固定されて

固定観念が少しだけ壊れて

車いすで運ばれて

夜中も翌日も次の日もじっと辛抱して

痛みに耐えた時に痛みに耐え続けていた人を悼むことをして

こんなことにならなければ分からないなんて

傲慢だ
傲慢だ
傲慢だ

ストライキする身勝手な脳を恨めしく思って

顔面の腫れと傷は治まるが首が治める頭の方向性が戻らなくて

そのまま傲慢は隠され固定観念は壊れたから身勝手

それだけのひととなり陳腐なことだと思考して

不自由なこころの持ち主となって

失うことへ恐れを抱かない傲慢な人間関係が残って

天井の星の図を見つめちっぽけなことだとゴロリと寝転んで

はみ出してみたいと焦がれて

もう一度万有引力に引っ張られることへ方向性の傾いたままの頭で省みて

やり直してみることにした傲慢を隠し持って

1メートルの高さから引力に引き寄せられ平行を目指し翔てみて






自由詩 20cmのはみ出し Copyright ベルヤ 2010-06-15 19:12:15
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