白と黒の調和
ベンジャミン

白と黒の間の色を
あなたは透明だと言う

僕はたぶん
灰色なんじゃないかと
だって透明は色として見えないし
白を透かせば白に見えて
黒を透かせば黒に見えるでしょ?って
言いたいけど言えない
言ったらたぶん
そういう見方しかできないの?って
あなたは言うと思う

だから考える
白と黒をはっきりさせること
ときにはそれは大切なことだと思うし
灰色みたいに中立になることもあるだろうし
僕は無難に灰色としておくことが
そういう立ち位置が安全だと
経験的に思い込んでいる

あなたに
白と黒が調和すると透明になるの?って
聞きたいけど聞けない
聞いたらたぶん
そういう考え方しかできないの?って
あなたは言うと思う

だから考える
考えているうちに見えるものではないと
こころの端っこでは思っているくせに
深く考えようとする

たぶんあなたは
白と黒の調和なんて考えてもいないし
ましてそれらを混ぜようなんて
そんなふうにも思っていない
確かめられないけど

僕はただ
白と黒が調和したらいいなと思う
でもそれは違う気がする

たとえば僕が絵の具を混ぜて
白と黒で灰色をつくって見せても
あなたはやはり
とても透明な眼差しで見つめるだけで
だから?って言う

僕はただ
白と黒が調和したらいいと思う
だから灰色をつくりましたって言うと思う
それですべてを片付けてしまえば
そんな簡単なことはない

あなたはたぶん
白をもっと見つめなさいって言う
黒をもっと見つめなさいって言う

楽に決めつけないようにって言う

本当に白と黒を調和させたいなら
両方の違いを知りなさいって言う

僕は考えるけれど
自分なりに懸命に考えるけれど
わからないって言う

そんな僕を見てあなたは
やっぱり透明でしょ?って

たぶん言う


自由詩 白と黒の調和 Copyright ベンジャミン 2010-06-15 02:12:00
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