ehanov

水を殴って飛沫を掴め
取り逃がした飛沫から水滴を掴め
と、音の遠くなりつつある声を反復し
頭には"雨に唄えば"が繰り返される
日の出前の大晦日の
(しんしん、とした)
水たまりが割れる、
霜の芽生えた花壇の裾に
一粒の感冒薬を落としながら
軒下の女の子に傘を遣りたかった
顔の焼けただれていた。
(それは僕が焼いた)
暗転前の瞳を凝視して


自由詩 Copyright ehanov 2010-06-03 22:06:12
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