空のかたち
クローバー

網戸の張り替えをしようと外しにかかると
空がところてんのように
にゅーっと切り取られました
あまりにおいしそうなので
私が黒蜜をかけて食べようとすると
だめだよ、と貴女が言いました
どうして、と聞いても、首を振るだけでした
空は、網戸が切り取った部分以外も、やっぱり空っぽで
ただそこにあるだけなのに、悲しくなりました。
ところてんになった黒蜜のかかった空は
夕闇のように垂れ下がって
私は、世界にいられなくなった人を思いました。
貴女の顔を思い出したのでした。


自由詩 空のかたち Copyright クローバー 2010-06-02 22:25:51
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