定時
朧月

思い出なんかに頼らない
思い出なんかは忘れない

矛盾しているこの気持ち
たとえば看板なんかにね

まっすぐ生きろ
と書かれたら
ひょいと曲がってみたくなる
ああいう気持ちに似ています

赤信号ならとまれるけれど
黄色信号は気分次第
たったと走れる日の私
顔あげる前にとまる私

そういうことをいちいちね
数えないけど確立は
かなり上です この時刻
やたらと鼻腔が敏感です

そろそろ肩がさみしがる
あなたの重みを探し出す
空が赤味を帯びた頃
ホームの中のだれかさんを
待ってみたくなる時刻です



自由詩 定時 Copyright 朧月 2010-05-31 17:40:17
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