アフターレイン
中原 那由多

眠らない窓の瞼を無理矢理閉じてから
物干し竿に明日の天気を聞いてみる

コンビニで買ったビニール傘は
骨が一本折れてしまい
それでも黙って使い続けるせいなのか

答えを教えてはくれなかった


買わない宝くじは当たらない
その前に買い方が分からないと愚痴ってみても

大きくなるのは夢ばかり

あるだけの小銭を握り締めて
自転車で走り去ったこの道は、アスファルトには
まだ黒い染みが残っている


話の内容はどうでもいい
秘密を隠すなら、箱の中ではなくて
その箱の模様に紛れ込ませる
裏返った声のお礼はもう
微笑みだけでは隠せなくて
初めからそうだったように振る舞った

あくびを合図に降り始めたにわか雨
壊れた傘でもないよりまだマシ


住宅街を抜ける近道は
かなり使いこなせるようになってきた

サイレン、二人乗り、駐車禁止

自分には関係ないはずなのに
他人事ではなくなってきている

夜更かし、罵声、新聞配達

この街の朝、光には
いつでも雨がよく似合う



自由詩 アフターレイン Copyright 中原 那由多 2010-05-27 07:57:37
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