冬放
木立 悟







壁面に進めば夜へ変わりゆく空へとゆがむ空へとうたう



黒い羽散らして立ちし膝裏にまごうことなきまがいもの降る



道を梳き川はゆうるり冷えてゆく午後の陽の網まとう雨の背



夜よりも昼を畏れるものばかり切れ端に棲む切れ端に澄む



親指のつけ根の闇にあおむけの短い眠りただ浮かびゆく



たどり着く言葉はすぐに離れゆく降りそそぐもの映す目の水



雨を越え次の雨らが来るように次の虹らは裏庭に座す



火の色の冬ふりしきるふりしきるひかり背にした息のはばたき






















短歌 冬放 Copyright 木立 悟 2010-05-26 02:29:44
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