微かに
星々が瞬いて
淡い菫色の
浄められた土に
すべてが安らいでいる
鳩も獅子も
蛇も蝶も
貝も鯨も
樹も花も
あなたも
わたしも
意識は其処より立ち上がり
其処へと帰ってゆく
昇る陽 沈む陽
宗教も国境もなく
戦争も諍いもなく
敵も味方もなく
富も懊悩も貧困もない
すべての上に
降りしきる
にくしみもおごりも
ねたみも侮蔑もなく
怒りも貪欲もない
雪なのか 光なのか
ながれうつろいゆく
やわらかなやさしさ
私というものがあやふやで
雲なのか 霧なのか
自と他の 陰と陽の 空と地平の
不分明なはざまにあり
懐かしい寂静のよろこびに充ちている
明け方なのか 黄昏なのか
今日も
私は立ち上がり
扉を開けるだろう
白熱する陽光の地で
たとえ修羅の道を歩んでも
私はいつも感じていたい
すべのものの故里から
銀の風が届ける
微かな淡い
星空の歌を
それは
日々のささやかな
幸せの時空
そして 私の愛する
ことばは
其処から
うまれ
あなたに
てわたされる