デイジー
亜樹

ママがホントは嘘つきだって
僕に教えてくれたのはデイジー。
白いスカートが似合う女の子。

パパがホントは嘘つきだって
僕に教えてくれたはデイジー。
真っ赤な頬した女の子。

デイジー、ねえ、デイジー。
もう一度、僕に教えてくれないか。

デイジー、ねえ、デイジー。
未だに僕がわからない、たくさんの本当のこと。

例えば、仲良く話をしている彼が
瞳の裏側で僕を笑っていることだとか。
例えば、憎まれ口を利く彼女の
喉の奥に張り付いたI Love Youだとか。

デイジー、ねえ、デイジー。
僕はまだ、知らないことがたくさんあって
うまいやり方もしらなくて
そんなものに気づいたときに
目をそらしたり
適当に笑ったり
見ていないふりをしたり、
そんな風にしかできない。

洗面所の鏡に映った自分の顔を見て
吐きたくなったり、
風呂場でそのまま
溶けて流されたくなったり、
飲み込んだ言葉が胃の中に溜まって
身動きが取れなくなる僕に、

デイジー、ねえ、デイジー、
お願いだから。
僕に教えてくれないか。
そんなのは僕だけじゃないと、
そう言ってはくれないか。



 デイジー、ねえ、デイジー。
 ホントの嘘つきは君だって
 僕はもう、知っているのだけれど。


自由詩 デイジー Copyright 亜樹 2010-05-23 19:36:36
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