詩を遠ざけるための断章
非在の虹
ふらちなよみのくにから来る男は
死んだ者をむりやりたたき起こし
ふとどき者の口からなにごとか聞こうとする
その行為 その汚らわしい行為に
あしもとから鳥肌起つ岸辺に立つ
ここは泉か 言の葉の埋もれる
奇妙な木々のすき間から覗く
よみのくにのおぞましさ
そのために捧げよう
まず家族たち
祖母
祖父
母
父
兄
姉
妻
夫
息子 娘 孫
身にまとっているのは経文か
祭壇に最後に登るのは
恋人であろう
底で裁断を待つ季節たち
の横顔も見える
いくぶんやつれている
無意味なテクストを残し さて
よみの国へ帰ろう
私は呼び起こした者
あるいは 呼び起こされた者
そのおぞましさ
けがらわしさ あさましさを衣とし
ひきつる悔恨を杖とし
哄笑を残し
(2002年10月)