詩を遠ざけるための断章
非在の虹

ふらちなよみのくにから来る男は
   死んだ者をむりやりたたき起こし 
   ふとどき者の口からなにごとか聞こうとする

その行為 その汚らわしい行為に
あしもとから鳥肌起つ岸辺に立つ
              ここは泉か 言の葉の埋もれる
奇妙な木々のすき間から覗く

        よみのくにのおぞましさ
          そのために捧げよう
             まず家族たち
                 祖母 
                 祖父 
                  母 
                  父
                  兄
                  姉 
                  妻
                  夫
             息子 娘 孫
身にまとっているのは経文か
       祭壇に最後に登るのは 
恋人であろう

         底で裁断を待つ季節たち
       の横顔も見える
            いくぶんやつれている

       無意味なテクストを残し  さて
         よみの国へ帰ろう
    私は呼び起こした者
          あるいは 呼び起こされた者
   そのおぞましさ
      けがらわしさ あさましさを衣とし
   ひきつる悔恨を杖とし
哄笑を残し


                       (2002年10月)


自由詩 詩を遠ざけるための断章 Copyright 非在の虹 2010-05-23 16:54:28
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