虚明
木立 悟
光は動き
樹は見つめる
はざまの前に立っている夜
はざまは風になってゆく
双子の夜の片方が
先に朝を知ったので
昼はななめ
夕はななめ
光が変える絵
とどまらぬ声
ななめをななめに
受けとめる指
霧の道に立つ
透るひとり
音は川をゆく
残るひとり
ことりことり
晴れた日の
誰も居ぬはずの
家の裏から
何も無さが
何も無さを去り
はざまはひとつ
夜の手に鳴る
自由詩
虚明
Copyright
木立 悟
2010-05-21 19:49:12