帰還
小川 葉

 
 
イマ カエル

妻に電話する
自分の声がおかしい

イマ カイモノ シテル

妻の声も
カタカナになっている
おかしい

近くで息子の声がする
オツキサン ミエナイヨ
オカアサン 
オツキサンガ ミエナイヨ

電話が切れた
ふと私は
今ここにいることが
信じられなくなって
実家の母に電話した

アア オメガ ナントシタ
キュウニ デンワ カケテキテ
メッタニ カケテコナイノニ
ナントシタ ナンカ アッタガ?

母さんの声も
カタカナになっている
おかしい

トウサン イルガ?

トウサンハ ネデシマッタ
オラサ サンザン ヤツアタリシテ
ネデシマッタ
イツモノ コトダ(ワライ)

笑い声もカタカナだ
いよいよおかしい
世界中の声という声が
記号になっていく
見えているものまでが
信号のように点滅している

私はあきらめずに
母に言う

トウサン ニ カワッテ スグニ

トウサンハ ネデシ シ マッタ
オ オ オ ラ

サン ザン ザ ザ ザ ザ
ヤツア タ ア タリ シテ
デ ネ デ ン 
ン シ シ マタ ッ イ
ツモノ コ
トダ トダ ) ワ ( ラ
イ イ (

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わたしは
ふたたびめをさました
うちゅうせんの
まどのそとには
おなじようなほしと
おなじようにつづく
うちゅうくうかんが
どこまでもつづいた
みおぼえのない
くらやみと
ひかりだけがえいえんに
なんおくこうねん
なんちょうこうねんとつづいた
あきらめという
がいねんは
もうとおいむかしに
すててしまった
そのさきに
うつくしいほしがある
なつかしい
あおくかがやく
ほしがある
あわてて
うちゅうれきをかくにんすると
昭和四十四年を指している





帰ったのだ





@ 〜 % い d

* 「 $ l # 。。。

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ウマレダガ?

オトコノコダド

アヤ メンコイナ

トウサン サ ニダベガ

カアサン サモ ニデルベガ

ナマエハ

マダ
 
 


自由詩 帰還 Copyright 小川 葉 2010-05-20 02:04:23
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