無題 (連歌の付け句)夏
かとう ゆか

注)2009年夏の連歌に書き込んだ自分の句だけを抜き出して、並べました。


向いたきり 首振らせない 扇風機

いてもたっても いられなくなる

あなたには わかりますまい どれほどか

会いに行きたい 愛に生きたい

血の味は 涙ですすぎ 忘れましょう

見上げれば声 見下ろせば空

道のりは 遠く果てなく 立ち尽くす

青、青さよ!生命は赤い!

報われぬ 炎を消せよ 雨音よ

どこで穫れたか 墓前には桃

灰になる 前にひとさじ すくってよ

打ち寄せたのは 異界の海藻

朽ちぬから 渇けなければ 腐るだけ

神秘に挑む 人生は実験

脱俗の 挫折記念に 赤飯喰らう

何を犠牲に してるか知らぬ

毒蛙 泳ぎを忘れ 溺死する

毒を制すは 薬か毒か

うらめしや うらみきれずに さようなら

今日もぐっすり 眠れるようにと

うずくまる 転げ落ちたく ないからね

楊枝を刺して デスクに配る

囲炉裏にて 今夜はご馳走 狸鍋

好かれる隙を みせる迂闊さ

ポンぽこポン 蓋を開けたら 空っぽだ

ひとだまじゃない ホタルかあれは

あら不思議 嘘かまことか ご覧あれ

露天の灯りも 見えぬ路地裏

青かった ものが夏には 朱くなる

眠りを覚ます 布団のはだけ

若き日にゃ 人の3倍 遊んだと

五臓六腑が トロトロとける

食用さ 種なし葡萄の 実る意味

甘くて忘れられそうにない


伝統定型各種 無題 (連歌の付け句)夏 Copyright かとう ゆか 2010-05-18 16:53:37
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