図書室の窓辺から
ベンジャミン

 
午後三時

初夏の森は緑の海
風に揺れる光が跳ねている
ひらいたままの図鑑
次のページがめくられるのを待っている
外の景色に気をとられて
どこまで見ていたのか忘れてしまった
図書室にはたくさんの本があるから
絵や文字に溺れてしまいそうになる

まるで海

砂粒ほどの言葉しか知らないから
どれだけたくさん拾い集めても
海に浮かぶ島にはならない
だから貝殻みたいな白いノートに
いくつかの言葉を書いて浮かべる
たとえ何処にも届かずに
海の藻屑になったとしても

書いた言葉だけは
ずっとこの世界を漂っていてほしい
  


自由詩 図書室の窓辺から Copyright ベンジャミン 2010-05-16 02:05:36
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