白夜航
プル式

どこにも闇は無く
ただ前に見える微かな星に向かう
それは何かの儀式の様に
黙って、黙って
微かに見える島影を頼りに
軋む櫂を漕いで行く

ごらんあれが終わりの岬
幾度も訪れたそれは
今度もまたゆっくりと浮かんでは
静かに消えて行った
ああ、また来てしまったのだという
後悔と安堵の中で静かに
静かに呼吸の音が耳に響いた

白々と更けぬ夜の中
まっすぐに漕ぎだす船の先には
小さなランプが下げられている

冷え冷えとした朝
白夜に揺れる微かな星は
まるで行く先を知るかの様に
橙の灯りを投げ続けている


自由詩 白夜航 Copyright プル式 2010-05-15 19:14:38
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