入口
たもつ

  
 
ぼくの中を犬が泳ぐ
きれいな犬かきのフォームで
どこかにある向こう岸を目指して
一方ぼくはといえば
水の中どころか
空気の中でもうまく泳げない
手足を無駄にばたばたさせて
滅茶苦茶に息つぎを繰り返すばかりだ
そもそもぼくは
向こう岸なんか目指してないのかもしれない
ぼくもぼくの中でなら
もっとうまく泳げるだろうか
けれど入口が見つからないし
入口を作るにしても
材質を何にして良いのかもわからない
 
 


自由詩 入口 Copyright たもつ 2010-05-15 08:49:50
notebook Home 戻る