ゆら
しべ

愛でては

水の際 熱さまし
大事に
大事に

玩具に灯した芥子色の
そっと切り立つ夕闇 ひと揺れに

やさしく頬張って

咀嚼した 嘶ぁた
沃土にけぶる童気が

か細い
這う虫を
まっくら
なるまで
すりつぶした


錆とランプで
あつぼったい

やっつけ仕事という割に
車内はじっとり濡れていて

青いバスに映り込むひと


私と
あなた

畔の
大きな肌で
あのときのように
やさしく
苛めて


菖蒲の窓に咲く
夜道 瞼に
臆面もなく私の
くるくるの
タイヤ転がして

ひび割れた深い路肩から
曲がりくねった
路地まで走ってる夢を

だからあなたは
もうすぐねむる


降りたら
バスが遠くに消え

だから
次は電車
だから

つつき出して

4両編成の湘南色がやってくるから

電車
たぶん弦楽器を握りしめて
田をたくさん
たくさん越え

十二橋へ
向かうから


自由詩 ゆら Copyright しべ 2010-05-09 17:01:13
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