もしかしたら雨が



もしかしたら雨が
降っているのかもしれないと思う

特に興味はないけれど
窓の外からシトシトと
何かしらの音が聞こえてくるから


もしかしたら風が
吹いているのかもしれないと思う

特に興味はないけれど
窓の外からビュウビュウと
繰り返しややアピールめに何かしらが聞こえてくるから


それは単なる妄想だと
誰かが言ってきたような気がした
振り返ってみたが
誰もいないから
それも妄想だということになる



もしかしたら誰かが
こっちを見ているんじゃないか

もしかしたら誰かが
何かを言ってきてるんじゃないか

もしかしたら窓から
誰かが見ているんじゃないか

もしかしたら窓の外から
行きかう人々みんながこちらを見ているんじゃないか


そんな気がする



顔を上げたが
ひとつとして確かなことはなく
全てが ただ
そんな気がしただけだった













しんとしたような気がした


カフェにはぼくひとり
ただぽつんと座っている
それは事実だが
そんなような気もする




僕は店を出た
足早に通りを歩き
行き交う人々を
次々と抜き去り
駅へと急ぐ

階段を上がり
改札に出て
電車を待った

入ってきた電車の
ドアから滑り込み
僕は辺りを見回し
近くにあったつり革を握った
一息ついて閉まるドア
動き出す電車


僕は電車乗った
ような気がした


虚空の中で



まだ カフェの
丸テーブルに肘をついていて
ただぶつぶつと
ひとりごとを言っている
電車に乗ったような
気がしながら



まだ
雨が降っている
のかもしれないと思う
後ろから
シトシトと
いまだ音はやまない


でも特に
興味はなかった







自由詩 もしかしたら雨が Copyright  2010-05-07 22:52:00
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