共有 1
すずき はな
これからいろんなことを「共有」したい、とあなたが言ったので、
ためしに桜を一緒に見てみた。
あなたの何かがわかるかもと思いひたすら桜を見ながら10キロも歩いた。
でも私にできたのはたくさん歩いたという「思い出」であって、
何かの「共有」ではなかった。
あなたがしたいのは思い出づくりなのかと問うと
冗談じゃない、思い出づくりになんか興味はないと言われた。
「だけど桜をみたことは間違いなく共有なんだ」
私に見つけられたことは、
「共有」について考えている時間を共有していたという事実だった。