修行ウィークなのだ。
八男(はちおとこ)
仕事を1週間休み、家族の理解を得、
接心(座禅の修行)に行ってきました。
場所は朽木にあります。
僧ではなく、珍しい民間の老師様で、
小浜に熱心に参禅されながら見性された方です。
風貌は岡林信康とキムタクを足して2で割ったほどの
ハンサムな方です。
天才的に料理がおいしい。
山の神様は、女優の田中れいな(名前忘れた)だったか?に似た、
キュートな美人の方で、見た目二十歳の、年齢不詳な方です。
1日目
道に迷いながら禅堂に着きました。
座禅はひどくつらかったです。
昼間は窓が開いていて、気持ち良く、
外の藁の束を見つめながら呼吸していました。
小人が足もとで笑顔で手を振る幻覚を見ました。
夜は辛くて悲しくなって、
悟りなんて、なんて途方もないことに
挑戦してしまったんだろうと、
くじけそうになる。
今まで否定的にとらえていた
親鸞の念仏って1回で救われるんだ。
なんて素晴らしいんだろうと、
寝る前に思わず南無阿弥陀仏!
2日目
どうしても考えてしまう。
呼吸に専念できない。
ヴィパッサナーみたいなのが混ざって。
サーフィン呼吸法を編み出す。
イタコのように、憑き物がついたように
呼吸する。波に乗っている。
1回、クリシュナムルティーが 言ってた、
全てが見事に観察されているみたいな
感覚になった感じがし、景色が深海みたいに見える。
嬉しくなって農家の人に手を振りかけかける。
それも持続せず、すぐに消えさる。
深夜、悪夢にうなされ絶叫。
3日目
足の痛みが最高潮。
陣痛ってこういう感じかな。
ひたすらラマーズ法に努める。
妊婦になる。
痛いだけの人生だった。
1番頑張ったかも。
この日から、休憩中の川の石拾いに
夢中になる。
4日目
足の痛みは少しましになってきた。
金魚呼吸法を編み出し、
ひたすら口をパクパクする。
また幸福感が支配し、
独参中に
女の忍者みたいな修行者に
ピースしかけるがなんとかこらえてやめる。
川で体を拭くつもりが、
調子に乗って全裸で水浴びしてしまい、
風邪をひきかける。なんとか危機脱出。
5日目
宅配のおっちゃんが来て、
戸を開けたら十数人が座禅をしている。
シュールだったろうなあ。
ひたすらひょっとこ呼吸法に努める。
深夜禅堂に行き悟ろうと座禅。
おばけが怖くて未遂に終わる。
6日目
亀呼吸法に切り替える。深夜の座禅がたたって不調。
この接心での大悟に挫折。
老師様の馬鹿野郎と言い、
石を川に投げる。
なにやってたんだろう。
人に偉そうなこと言うのやめよう。
ちっぽけな自分。
しょげしょげな自分。
そしたら何かが抜けた。
達筆で大書してある 物一無(むいちもつ)
を おーす と読んでしまう。
7日目
最初に老師様が言っていた。
座禅が座禅をする。
山になる。
その意味がやっとわかる。
静かに呼吸。
エレベーターに乗って宇宙に行っているような
感覚を味わう。
この感覚もどんな喜びも全ては一過性のものだった。
若い頃体験した、悟りだと思っていたものは
この手のぬか喜びだったのだと気づく。
山、座禅が座禅への道は遠い。
そして昼に終局。
さいごの甘茶がおいしかった。
終わってからの打ち上げは
私語開放。
一気に大家族のように。
忍者の女の子が可愛らしいかっこになってて
隣で話しかけてくれる。
このギャップに完全につかまる。
しかし私は四時から仕事なのだ。
恋心を胸に朽木に別れを告げた。
みなさん、感謝してます。
ありがとうございました。