過日の血
いっと

漫然とした教室の中
五感が鈍くなった私に
ただ一人だけ
語りかけてくれるものがいる
親指のささくれ
はみだした部分を
引きちぎる
滲む
赤く
私の証明
そっと押さえる
指に転写された


ふと 子どもを産みたくなる

(教授のような人が
 学生のような人に
 授業のようなものを
 している
 意味が崩れる
 確かなものは
 どこ

血がしたたる
染色体を自覚する


自由詩 過日の血 Copyright いっと 2010-05-01 20:13:09
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