懐中時計
こころゆくまま

不思議よね
懐中時計はとまったまんま

だけど家の前に走る車は
今朝から忙しく
騒がしく
たのもしく

そうね
自分でネジを
回さなきゃいけないのよね

開けては
閉めて

動かないゼンマイを
まじまじ眺め


わたしなんて
いてもいなくても
世の中変わらないし
べつに
生きてても
何も楽しみなんて
見いだせない日々で
子供にとって
こんなダメ母いないほうが
いいのかもしれないとか

ぢくぢく義母に言われるくらいなら
義母に子供
立派な総理大臣に育て上げて
もらおうかしらとか
てか
この育児も家事も何もしない
旦那を作り上げた義母に
できるわけなし
やはりわたしが子供の尻叩くしかなしか
とか
こんなことしたくて母になった覚えもなし
とか
もっと家族みんなで
公園行ったり
狭い風呂に
わぁっとジャブンと入ったり
そんな家庭にしたいのに
何ができてるかしら
私はなんのために
ここにいて
なんのために
一日を
一週間を
一ヶ月を
一年を
目まぐるぐるしく
過ごしてるのか
わたしの懐中時計は
君とサヨナラした
あの日のまま
動かずにいるってのに


苦しいよ
泣きたいよ

こんな私でごめんなさいって

泣いてるよ


嫌いにならないで


いなくならないで


自由詩 懐中時計 Copyright こころゆくまま 2010-04-21 21:04:28
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