十年後から
ピッピ
あんたの短歌はフルーチェの匂いがするね愛しいだけさ
真白なTシャツで作ったフラッグを振る死んでも名前は同じでいたい
眠れないのは誰のせい深夜音楽番組を片っ端から惚れる土曜日
とお曲がり二本目の木を右に抜けそれからタイヤのないバスに乗る
石塀に猫がまたがり「な行」だけ一生懸命勉強してる
勃たすなよまだ朝日新聞の朝刊がポストを通り越しただけだろう
飛行機に遅れるしまだビスケット噛んでないし不埒だしアホ
キスマークつけたまま病院にいって「これ取ってくれませんか」看護婦五人
外国のブラックベリーの煮詰めたの食べてる 視界ピンクで候
プリーズがうまく言えなくてプルズィになる君の舌あたしにプルズィ
「五年前に戻れるならば」「戻ってきたばかりじゃないか十年後から」