再帰
黒川排除 (oldsoup)

いました、指がしなやかさを失ったその瞬間から既に、
すべて気付かれていました、知れ渡っておりました。
だからこっそりと集団の流れる気配に背く信号を
飛ばしたのです、届かない、知っていました。
愛用の品。羽根に生まれて死ぬことさえも
それがどんなに冷たいことかも。

冷たい街路、折れた街灯、
串刺しにされた果物を吊った軒下、
偽造された影に横たわると涙が止まりません。

助けて下さい、可哀想だと思うなら、もっとそばに。
だけじゃ足りないのです、思われるより吸いたいのです、
憎しみに錆びるがらくた、結構、その呼ばれ方でも、
手を取って、まだ見ぬ顔を永遠に見せないで。

部屋の匂い。犬のように、野良のように、
暖炉が恋しい、こころを燃料に、
幸せと我が身を燃焼させてください。
懐かしい音、ぼうっとする頭に宿る神様が、
うかれまわっている、どんな小さなことでも、

幸せで満たそうとするのです。
幸せで満たそうとするのです。
幸せで満たそうとするのです。


自由詩 再帰 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2003-10-07 01:42:04
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