春がむさぼる
亜樹

  咀嚼音がする
  蝕まれている

芽吹く若葉が肌をつらぬき
柔らかな蕾がばらりと開く
獣は発情して山がざわつき
細胞は沸立つ水は腐敗する
空はただ高く鳥はただ遠い

  咀嚼音がする
  春がむさぼる


自由詩 春がむさぼる Copyright 亜樹 2010-04-08 00:43:42
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