女の肖像
さき

生まれた時から
ずっと抱えたままだった
空しいキャンバス
君の絵具と
迷ってばかりの絵筆で
永遠に愛する
なんて
私の白々とした
嘘さえ
染め上げて



私は娼婦か
それとも老婆か
どちらにもなれない
聖母と
乙女が
眉を顰めて
君の描く色を
見ている



ああ
宇宙よりも暗い
世界の色に
たまらなく嫌悪し
何かが始まる
誕生の色に
大きな恐怖を
だけど
感じる
ここからが
全て
だから
私は
女に
なった



この世の色という
さまざまな花




縺れ
絡まり
愛し合い
その全てを
飲みこんだ
ねえ
この涙ごと
塗りこめてくれないかな



許されなくても
いいんだ
綺麗だとか
美しいとか
感動したとか
みんなに思われなくていい
それでも
私と君が
向かいあう
それだけで
いい


そうして
君が思うように
描いた
君の絵に
なりたいと
願う



いつも
それだけ








自由詩 女の肖像 Copyright さき 2010-04-07 22:29:16
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