Ordinary World
寒雪



珍しく雨の降る日
お前を見かけた
傘もささず濡れて冷たいおまえは
疲れた顔で何か見つめていた
そこにあるものは
おまえの中にある本当の世界
髪からこぼれ落ちるしずくが
おまえの心に思える


何をどうしたら
おまえは気に入るというんだ?


結局、逃げだしたところで
その先には
同じように日常の世界が存在する
意味なんか見当たらない
この世界で生き抜く方法を学ばないと


送られてきた絵葉書の中に
解放されたお前の心
そんな生活が今に取って代われば
やっぱりおまえは堪えられなくなるのか
振りをしているだけ
おまえは依然として奴隷にすぎない


何をどうすれば
おまえは目を覚ますというんだ?


結局、まやかしでしかない
おまえの見ようとしない心の裏に
ありふれた世界が存在する
忘れられっこない
この世界で生き抜く方法を見つけ出さないと


理想の世界だなんて
うそぶくおまえの言葉には
おまえの欺瞞が見え隠れする
手に届くはずのないユートピアなど
捜すだけ時間の浪費でしかない
おまえはそれでも
本当の自分から目をそらす


いったいどうすれば
こんなおまえを助けられるのか?


結局、どこまでいっても
おまえの目の前には
広がる日常の世界が存在する
早く起き上がるんだ
この世界で生き抜く方法を勝ち得るために


急ぐんだ
おまえが消えてしまう前に



自由詩 Ordinary World Copyright 寒雪 2010-04-01 09:24:04
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