道化
古月

赤い水玉模様に抱いた
未だ物心もつかぬ幼児の
ばたつかせる手が拭う
白粉の下に隠れた象皮に
深く刻まれた街区の端では
青痣と浮腫が今日も賑やかで
皆に愛されるお時間です

強いばかりの粗悪な安酒が
有り難い赤ら顔の寂しがり屋で
支離滅裂な覚束ない足は
野良犬だって近づきゃしない
それでも皆様ご安心あれ
幕間にお化粧直しをすれば
皆の愛する笑われ者です

風船細工のお馬さんも
精肉工場の腸詰も愉快で
細い糸で口を縛ったら
膨らむだけ膨らんで ぱん
びっくり箱の中でおやすみ
赤い水玉模様のついた
綺麗なお服を着せてあげます

可愛い子供が大好きなので
おあつらえ向きのお仕事です
街から街へと旅をするので
おあつらえ向きのお仕事です


自由詩 道化 Copyright 古月 2010-03-27 01:18:43
notebook Home