フリクション
瀬崎 虎彦

さざなみがさらっていった

いつしか悲しみが
すべすべとした滑らかなものに
変わっていくように

すこし冷たい雨が研いでいった

行き先を見失うときはいつでも
はじめに心をひらいた場所を
思い返すのが良いと

君の中にもぐっていった

体をこすり合わせると
そこにはロマンティックなものはなく
剥き出しの生だけで会話をする

フリクション


自由詩 フリクション Copyright 瀬崎 虎彦 2010-03-24 17:02:24
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