チョコレートの逆襲
within

チョコレートを頬張って
寝る前の歯磨きをさぼったら
真夜中に
頭がうなり始めた

甘い甘いチョコレートの逆襲だ
虐げられたカカオ豆農奴の
怨念だ

うなる頭を抱えながら
積み重ねた石を蹴り倒して
怨念は続いていくよ

しれっと笑って
誰にも気付かれないように
砂を吐いて
ドリンクバーで時間を潰し
行き倒れになろうとも
しれっと笑う

小さな積み重なりが
幾重にも打ち寄せれば
群がるように産まれてくる命の束
今日も歯磨きを怠らない
チョコレートは侮れない
トンネルを通り抜ければ
元の道だ

怨念を引き受けよう
繋がれた一筋の血に
ありったけの思いを込めて
伝えよう
そうやって繋がれてきた僕たち

春風の強い日に
大陸から砂がやってくれば
海に沈んで砂を吐こう
そういうふうにしか生きていけないのだから
ただひたすらに砂を吐くことに
いそしむのだ


自由詩 チョコレートの逆襲 Copyright within 2010-03-22 16:16:52
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