はるかぜ
麻生ゆり

あるうららかで暖かな日
ふらり散歩に出てみる
あてどなく歩いてみる

春風はどこか優しくて
さらり南から吹いてきて
私の髪をもてあそぶ

花開いたジンチョウゲの香りが
ふわりたゆたって
なぜかふと幸せな気分になった

川べりまで来ると
きらり高くなった太陽の光が反射して
思わず目をつむってしまった

そしてふと耳をかたむけると
ひとりウグイスが
恋の歌を奏でている

足元を見れば
のそりツクシの頭が
地面からのぞいていた

それからもっと目を見張ると
ぴかり黒光りするアリたちがせわしなく蠢くものだから
踏まないよう注意しよう


嗚呼、こうしていよいよ
ちょっとずつ春がやってきたのだ
今近づいているのは
間違いなく一年で最も麗しくも華やかな季節
春風はくるり
思いのほか優しく吹いている…


自由詩 はるかぜ Copyright 麻生ゆり 2010-03-22 00:29:12
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