G線上のアリア
乱太郎
G線上の旋律を
独りぼっちの風が流している
聴衆は
梢たちの林
純白のドレスを着た君に似て
痩身な それでいて 気高く聡明な
巡る四季に彩られることなく
いつまでも白い壁
ひっそり暖炉を暖めている
真夏の夜の悪夢の中でさえも
あの頃
ここをアポロンの神殿と呼んで
過ごした幾つかの秋
聞こえてくるのは鳥たちのさえずり
しかし
枝の葉は散っていく
そして
やがて君も
いつしか
僕は希望を棺の蓋の裏に
ただ書き込んでいた
届かない光りは君だとわかっていても
永遠なんて有り得ない
この風景を拙い腕ながらも
キャンパスに留めよう
額縁に収まった時
僕たちの一瞬は
流星が運んでくれるだろう
G線上の旋律に乗せられて