泥まじりの雨滴
フミタケ

ワイパーを動かすとフロントガラスに

茶色い泥まじりの水滴

風が吹きつづけた後の生あたたかい雨粒

ちょっともの憂くも

塵を洗い流してくれるだろう思いながら

12月の雨のことを考えていた

僕たちみんなの間にいつも降る雨を

いっそう凍えさせ、でも雪には変わらない冷たさ

そこに掴まるところは ない

貰った笑顔の全てでなくひと部分だけ

雲に切り取って、形を変えるたびにうすれ

やがて消えてしまうまで大切にそっとしまっておくよ

何が本当で、何がインチキなのか誰にもわからない

流されつづてもいいし、ひとつひとつきちんと選択して生き抜いてもいい

それがどうかなんて結局全部不確かなもの

確かなのはたとえば

かなわない恋をしても

惚れたという気持ちは自分のものだ

確かなのはたとえば音楽

僕は猿と同じくらい自分が何を好むか知ってる

手に終えないくらい大量の愛すべきもの達

確かなのはお気に入りのカレーの味

自分が感じ取った、良いもの

ごちゃごちゃした話は絶対にしない

そうやって、君と一緒にカレー食べたい。


自由詩 泥まじりの雨滴 Copyright フミタケ 2010-03-08 17:26:43
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