泥まじりの雨滴
フミタケ
ワイパーを動かすとフロントガラスに
茶色い泥まじりの水滴
風が吹きつづけた後の生あたたかい雨粒
ちょっともの憂くも
塵を洗い流してくれるだろう思いながら
12月の雨のことを考えていた
僕たちみんなの間にいつも降る雨を
いっそう凍えさせ、でも雪には変わらない冷たさ
そこに掴まるところは ない
貰った笑顔の全てでなくひと部分だけ
雲に切り取って、形を変えるたびにうすれ
やがて消えてしまうまで大切にそっとしまっておくよ
何が本当で、何がインチキなのか誰にもわからない
流されつづてもいいし、ひとつひとつきちんと選択して生き抜いてもいい
それがどうかなんて結局全部不確かなもの
確かなのはたとえば
かなわない恋をしても
惚れたという気持ちは自分のものだ
確かなのはたとえば音楽
僕は猿と同じくらい自分が何を好むか知ってる
手に終えないくらい大量の愛すべきもの達
確かなのはお気に入りのカレーの味
自分が感じ取った、良いもの
ごちゃごちゃした話は絶対にしない
そうやって、君と一緒にカレー食べたい。