百貌のアサガオ
海里

今はまだ
パブロンの空き瓶にしまわれたままのアサガオ
君たちの勇姿を憶えているよ
天を衝くヘカトンケイレス
撓めても矯めても
行灯仕立てなどには収まりようのなかった
蛙手の百手の巨人

一つの大樹を征服しおえてでもいるかのように
日差しの中
なお涼しげに咲き競っていたガイアの息子たち
青きイポメア
盛夏のナス目
ヒルガオ科サツマイモ属の
クライミング・モーニンググローリー

明け方の繭の中に
黎明のエデンに
君はなんという祝福だったことだろう

今はまだ
透明なガラス瓶にしまわれたままのアサガオよ
ヘブンリーブルーなどではない
ただの雑種の
けれども百貌のアサガオよ

時が来たら
また好きなだけ伸び広がって繁り咲き
実を結びまくるといい


自由詩 百貌のアサガオ Copyright 海里 2010-03-07 21:37:32
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