紅い花 
服部 剛

おれは一体、何処へ往く? 
別れを千切って、歩みゆく 
空っぽの缶からを 
虚ろな片手で、握りしめ 

おれは一体、何処へ往く? 
愛しい花を置き去りに 
ひとつの小石を 
震える片手に、握りしめ 

両手から、放った鳥は羽ばたいて 
透きとおったエレベーターが
身体からだの深部に、下降する。 

地下〇階、エレベーターの、ドアが開く。 
夜の闇に誰かを待って枯れかけたもう一輪の、紅い花。 
如雨露を手にそそぐ植木鉢の土に、ひかりの水は沁み込む。 








自由詩 紅い花  Copyright 服部 剛 2010-03-07 18:14:53
notebook Home 戻る  過去 未来