復活祭
寒雪


漆黒の闇を
手探りで進むように
もがき苦しむきみを見ることさえ
もう
今のぼくには堪えがたい苦痛なのだ


きみは
ぼくの気持ちなんてお構いなしに
ぼくのまわりに現れては
その凍りつくような笑顔を
投げつける
どんなに愛想良く
ぼくに話し掛けても
意味のないことさ


復活祭の前日
ぼくがきみについた
うその深刻さが
きみをいつまでも追いつめる
きみのことが好きだなんて
ジョークにしては出来すぎだよ


いつまでも
ぼくのそばにいようとしないでくれ
きみがぼくを嫌いになるよう
懸命になってるっていうのに


ぼくは
きみに愛されるような男ではない
日陰に棲み
胞子を飛ばすのが
ぼくの日常には相応しい
だからきみははやく
こんな悪夢から抜け出して
正気を取り戻すことを
ぼくは望んでいる


嫌いになってくれ
嫌いになってもいいぜ
嫌いだろ?
嫌いなんだったら
嫌いだからさ
嫌いになれよ


復活祭の前日
ぼくがきみについた
うその深刻さが
ぼくの心までも
袋小路に追い込んでいく


ぼくは毒を投げ続ける
きみが
ぼくに近寄れないよう
ぼくから遠ざかるよう


自由詩 復活祭 Copyright 寒雪 2010-03-03 11:16:29
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