Pretender
寒雪



気まぐれに
財布の中に余っている
一円玉を
四角い箱の中に
ごみを捨てるように投げ込む
世界を救出したヒーローのように
小銭の無機質な響きを
慈悲深い顔に刻み込むおまえ


10円にも満たない額で買える
おまえの偽りな免罪符
羽毛布団で惰眠を貪り
決して起き出してはこないというのに


依然として
頭の外では
見捨てられた魂が
行き場を失ってもがきさまよう
そんな光景も
おまえには見えはしまい


瞬間の連続は
おまえを永遠のスターに
のしあげることはない
それでもおまえは
自らの手に世界を握ったと
勘違いしたまま


自由詩 Pretender Copyright 寒雪 2010-03-03 00:12:41
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