百花百態
小池房枝

ここの雪は重かろヒマラヤユキノシタ

食べたいし花も見たいし菜の花みどり

桃が咲くのは節句を過ぎた頃だろう

同じ鉢のアザレア同士の鮮やかさ

一木のマンサクちらりほらりと満開

アサガオの種は土の今どこにいる

アマリリスきみはほんとに箱入り娘

ウィンターコスモス実はとっても寒がりさん

アンスリウム里芋の花もハワイでは深紅


エリカなぜ荒野のヒースは冬に咲く

ローズマリー寒中真っ青な花ざかり

レンギョウで遊びたいけど店なので我慢

寒緋桜はるかレキオを思い出す

ムスカリはムスカリリーで百合です嘘です

冬牡丹中輪小輪赤白黄緑

無言でもいいのくちなし芽吹いてね

ノースポールはスノーポールのお兄さん

石垣の隙間にムラサキナノハナちっちゃい

クロッカス今咲いてるならサフランじゃないね


芝桜の土手ただの土手どんど焼き

コブシ咲けキブシは垂れろ山の春

乙女椿はまだですだって支度が大変

セントポーリア青いのを嘗て飼っていました

紅白の玉入れ用の花屋のデージー

福寿草カップのバターが蕩ける瞬間

ジュリアンもポリアン、オブコ、メラコもプリムラ

影も形も見えない二月のポーチュラカ

沖縄のポインセチアは露地で大木

ボロニアは金平糖のようだ食べちゃお


夏みかんごろごろ落ちてて危ないな

ケヤキ笑ってトレモロのトリル梢の先まで

ハナミズキ枝先のミナレットがほどける

ふきのとう生えたまんまのひとんちの庭

クンシラン大粒の赤い雪ゴジラの目

ツツジ結実身の危険でも予知したか

マリーゴールド凍みて溶けて今は朽ちてゆくとこ

夜も明るく笑ったままの金盞花

アネモネが好きな大きさで咲いている

葉牡丹のかわらぬ姿にほっとする


雪をはらって凛と詩人の沈丁花

すいと伸びたところどころに雪柳

クリスマス年末年始の果てのシクラメン

実は全然草花ではないマーガレット

「ストロベリートーチ」きっと赤い猫しっぽ

星が零れるように咲き出すヒイラギナンテン

南天の珊瑚のピアスが道に落ちてる

綺麗とは違うけど立派だアロエだね

ロウバイが咲き終わってて狼狽しました

ナズナ今年も何かをぺんぺんし続けて


モクレンのもろ肌玉子の剥き身色

満開の水仙群落法面斜面

花はまだでも覚えているよ君はコブシ

いちごポットもれなくナメクジもついてきそう

紫陽花がもう芽吹いてるチョキしてる

ヤツデ今は咲き終えてグーの手の花火

ソメイヨシノそろそろ枝先がマッチ棒

毎年の君は紫の茎四角いやつ

毎年の君は紫のムラサキケマン?

水仙のふりして葉みず花みずの葉っぱ


ここにいます!踏まないでねと「チューリップ」

プランターの撫子いつからを咲いていた

クリスマスローズは日陰に似合う花

春を告げる大横綱は杉花粉

木瓜朱い丸いつぼみがかわいいね

すみれ何故売られているのか生えなさい

咲いたときがいちばんピンクねヒヤシンス

はじけてる房アカシアの黄味色の魚卵

馬酔木咲いてしゃんしゃん細かな鈴の音がする

たんぽぽの綿毛が閉じてるいつ咲いてたの


何が咲いているものですかと冬薔薇

なにもかも置き去りにしてオキザリス

降り始めに舞う雪のよう白き梅

紅梅がいつも必ず先に咲き出す

黄色ずきん紫ずきんの大きなパンジー

四季を問わずミニバラに冬のアブラムシ

ユキムシのツクシノイバラ筑紫野の雪

タネの青さを覚えていますよ真冬向日葵

カサブランカ頑張って今はまだ眠ってる

みかんきんかん身のうちの種はいつ芽吹く


生きるべきかイタリアンパセリ思案中

どうであれ悩まぬミントはつまり雑草

スノードロップみどりのえくぼが目印です

じじぃぶり良ければ値もはる啓翁桜

ナガミノゲシことしは君を咲かせない

どこを掘ってもオシロイバナの根は立派

雪を浴びてまで咲かないでねツキミソウ

我アリと寒さのなかにもアリッサム

春と冬のどちらのストック?白ピンク

勿忘草雪に素直に負けてよし


河津ざくら植栽桝に街の雪

ビバークは得意中の得意いぬのふぐり

めしべ全部咲ききってから萎えたガーベラ

スイートピーすいすいと泳ぐ立ち姿

ラナンキュラス薔薇の頭のチブル星人

かいがらそう不動産屋にぽっきり折られた

山茶花はいつのまにやら椿と交代

河川敷のセーター植物野良グロキシニア

カラスウリ結び文はすべて落とし済み

銀メッキ何するものぞヤナギ芽吹く


俳句 百花百態 Copyright 小池房枝 2010-02-27 19:45:29縦
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