指先のお話
15フィールズ

小さい頃は手の届かないところに欲しいものがあった
お菓子、ジュース、マンガ、写真、お金、ファイル、金魚、双眼鏡、音楽、パソコン、ナイフ、万年筆、電車、雲、夕焼け、日めくりカレンダー、木にひっかかっているラジコン、ケースの中の夢の競演、厳つい本以外のエトセトラ
よく分からないことをすると褒められて何か貰えたけど
底無しの好奇心を埋める程ではなかった
だから早く大人になりたかった





今はそれを下らないと思いながら
昔は足の浮いた椅子に座り
携帯電話に文字を打つ
あの時の僕が見たら驚くだろう
何がほしいの?
そう聞くに違いない
君と同じだよ
と僕は答えるだろう
そしたら一緒に
わからないと言おう





心を彩るたくさんの傷が
ズキズキ、と小さく痛みだした


自由詩 指先のお話 Copyright 15フィールズ 2010-02-27 02:40:45
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