蝸牛
ゴースト(無月野青馬)


抉る子供
服は赤く
鼻を啜る
抉る子供
涎拭い
母親を
見つめている
赤い服で

森へ入る
口を開けて
空へ昇る
口を閉じて
消灯の無い世界に
漠然と不満があって
服が赤いことに鼻を曲げて
歩道橋を爆破する願望の
代わりに自分の耳を抉る
抉られた耳は蝸牛のようになり
捩れている、ヌメリと

空へ口を大きく開けて
(抉りながら)昇っていた子供は
予期せぬ亀裂の入った雲に
久しぶりにヒヤリとして
口を閉じて
幼稚園のバスを待つ
森の入り口で
まだ倒れている
母親を
無視しながら
抉りながら



自由詩 蝸牛 Copyright ゴースト(無月野青馬) 2010-02-25 19:03:46
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