海岸のひかり(イパネマの娘)
吉岡ペペロ
ぼくらは海岸沿いのバーで飲んでいる
昼間から飲めるような身分なのは
ぼくらが考えることを仕事にしているからだ
海岸のひかりのなかに
いつもの女の子があらわれる
彼女は母親のタバコを買ってきえてゆく
まとめて買わないのは
ぼくらに気があるからに決まっている
微笑んでみえるのは
ひかりのせいだけではないだろう
彼女がきえると
茶色い孤独が目のまえに浮かんでしまう
タバコがどれだけ幸福なのか
ビールがどれだけ美しいのか
ぼくらと彼女だけが知っている
ちいさなピアノ伴奏で
ボサノバが奏でられている
イパネマの娘だ