ブラウニーの棲む家
楽恵


青灰色に輝く海岸沿いに
小さな赤い屋根の家が立つ
その家には
ブラウニーの妖精たちが棲んでいる


小さな妖精たちは
茶色のボロ着を身にまとい
いつからかその家に棲みついている


その家のキッチンで私は
あなたが帰ってくるのを待って
温かなシチューを作りたい
でも私は料理がヘタだから
うたた寝しているあいだに
いつもブラウニーたちに手伝ってもらう


マホガニーのロッキングチェアーに揺られながら
あなたの服のボタンを付け替えたい
けれど私は裁縫がヘタだから
買い物に出かけているあいだに
いつもブラウニーたちに手伝ってもらう


お礼をする時はさりげなく
部屋の片隅にパンケーキを置いておく
見つけた彼らの嬉しそうな笑顔を
物陰に隠れてこっそり見届ける


晴れた日の日暮れに
ブラウニーたちは庭でダンスを踊る
海から夕陽の照り返しを受けて
彼らの茶色い姿が
メイプルシロップのように輝いている


いつか青い海を越えて
そんなブラウニーの棲む家に
わたしはお嫁にいきたいの




自由詩 ブラウニーの棲む家 Copyright 楽恵 2010-02-23 10:15:43
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