既思感-デジャ・ビュ-
愛心

この道の果てに 気づいてしまったのはいつだっただろう

笑顔で交わした 約束を誓った入り口は
もう遠い もう見えない

握った手のひらが貴方は固く 広くなって
見下ろしていたその黒髪も
今は空に翳されて 茶色に光る

同じ模様のマグカップ サイズの違うペアリング

貴方を示すものは こんなにも手元にあるのに
貴方という存在だけが
ここにいない 隣にいない

『愛してる』
何度も言ったこの言葉が
今では何故 空に溶けて消える

『傍にいたい』
本当の気持ちは まなじりから 融けてこぼれ落ちる

嘘吐きなこの体は
今でもその温もりを 覚えているのに

『さようなら』
震えた声だけしか
貴方に伝えられなかった

運命なんて甘い幻想を
抱いていたのは 今はもう昔

懐かしいなんて言えない
まだ過去じゃない

認めたくないだけ
頭で分かってる

体と心が空回りして
淋しさだけが わたしを占める

『これ以上苦しむならば』
そう言って離別する

最後にその手のひらをわたしに伸ばして

震える体
欠壊する瞳の奥
何か聞こえる?
不協和音

あの頃とは違う同じ二人が 同じ姿でついに繋がる


自由詩 既思感-デジャ・ビュ- Copyright 愛心 2010-02-22 18:25:44
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