逃亡先は海底なのです
朧月

斜めがけしたかばんの中にいっぱいつめた希望は
重すぎるからがたごといって僕の首をしめました

電車の窓をあけたくなって
黙ってあけてみました 外の
景色の一部がはいりこんできて
だれかを連れてゆきました

泣いてる子供がいます
名札に僕の名前

どんな夢をみたんだか はやく思い出さないと
電車は停まらなくなってる

各駅停車のはずだったのに
まるで年輪みたいに回っている

のっぺらぼうな人の群れが
ドアにおしよせて こじあけていった
着いたはずの駅は終着なのです
人類最終地点は 海の中でした

みんなで浮かぶ波間は
荒波でした 生き残れそうにない
僕は ただ 流れ流れて
ゆくのです ここでも
まるで臆病な僕は 海底で眠るのです



自由詩 逃亡先は海底なのです Copyright 朧月 2010-02-20 09:21:28
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