免許のない盲目の学生の夜のドライブ、あるいはスティービーワンダー
ひとなつ

「首都高に入りました。」

カーナビは言う

しかしここは国道16号線だ

100m先のマクドナルドのドライブスルーの
マックシェイクストロベリーの匂いがそれを証明してる

おれは盲目だが嗅覚には自信が…
「地震だ!」

突然生放送のラジオは大騒ぎを始めた

揺れがおさまるまでの7分間騒ぎ続けた

遊園地のビックリハウスみたいに

オレは思った

こいつらはきっと世界が終わるとき、

真っ先に犯罪行為に走るタイプだろうな。


(noise―√)

一分間のノイズのあと

ラジオはニュースキャスター風の声に変わり震度5を告げた

確かに凄い揺れだった

どうやらオレのカーナビは「地震」を「首都高」と認識したらしい

何故そう思ったかというと

地震による激しい揺れがおさまったとき
今度は「一般道に入りました。」と言いだしたからだ

だが
おれは盲目のまま走りつづけるしかない

100m後方からパトカーのサイレン音が聞こえるからだ

おれは盲目だが聴覚には自信がある


 終わり


(地震で目が覚めた朝は、地震の現代詩を)

(この物語はフィクションです。)

 2010年02月17日05:44


自由詩 免許のない盲目の学生の夜のドライブ、あるいはスティービーワンダー Copyright ひとなつ 2010-02-18 00:30:24
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