クローンは人にあこがれて
窓枠


ひとつだけ言わなくてはいけないこと
わたし
実はクローン人間なのです


誰に造られたのかわかりません
右肩にあったはずの製造番号
体を洗うごとにかすれきって
わたしが偽物か本物なのか
誰にもわからないでしょう

欠陥品なわたしにもわかりません

どこが欠陥してるかと言われれば
なにかにつけて不器用で
みなが毎日してるような
簡単な真似事すらできず
いつかスクラップされることを思うと
路地裏にひそんでしまいます


夜が明けるのはもはや当たり前
目覚めればいつも知らない場所
ほんの一瞬の映像なのですが
そこは真っ白で冷たく
過去も未来もありません

ひとつだけ言えること
それは
タイムマシンなどありませんよ


できそこないとは呼ばないで下さいね
これでも精一杯をフル稼働しています

ロボットにありがちなアンテナや
不屈の心など持ち合わせておらず
ましてや武器なんてもってのほか
街中を歩けば
どこにでもいそうなか弱い乙女ですよ

ひとつだけ言っておきたいこと
こんなわたしでも
人間の仲間入りしてよいでしょうか?



自由詩 クローンは人にあこがれて Copyright 窓枠 2010-02-16 02:26:25
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