月面航海記(虹の入り江)
楽恵


僕の銀色の船は、雨の海を北上し、
目的地の虹の入り江にたどり着いたところだ


虹の入り江は、とても綺麗に湾曲している入り江だ。


ここは本当に美しい月の名所で
地球にいた頃から、僕の憧れの海だった


太陽はもう沈みかけていて
入り江の縁のジュラ山脈が僕の船の上に影を落としている。


雨の海にせり出している2つの岬は、東側がラプラス岬、西側がヘラクリデス岬だ。


僕はこれから船の外に出て、
僕の銀色の船の帆に当たる部分、太陽光パネルを少し修理する。


船の扉を開けたところで、ちょうど溶岩平原に地球の出を見る。


月は潮汐力のせいで毎年 3.8 センチずつ地球から遠ざかっている


地球と月は外から見ると完璧なカップルに見えるけど
それでも彼らは少しずつ離れていっている


地球を発った時、君を想う僕の心は永遠に変わらない、と君に言ったね
でもいつか、僕の心も月のように
君から離れていってしまうのだろうか


もしそうだとしたら、それはとても悲しいことだね






自由詩 月面航海記(虹の入り江) Copyright 楽恵 2010-02-15 21:49:43
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